引っ越しのアルバイトは思い出を包む仕事

私は少しの間、引っ越しのアルバイトをしていました。 引っ越しの仕事というのは、その家の生活や人生を覗き見する仕事ともいえます。 全く面識のない人の家にあがり、その人の生活品を梱包していくという仕事は、 全く知らない人なのに性格や人生などが感じ取れて、その人のことがわかっていったりします。 ある一人暮らしの青年の家は、私たちの手なんて必要ないのではないかと思うほどに生活感がなく、 目立った仕事といえば、数少ない食器と沢山のCDの梱包だけでした。 少しくらい雰囲気の家と、アーティスティックな青年を、きっと町中で出会うより、 私たちはもっと理解することができていたのではないかと思います。

ある家族の家では、年を取った夫婦の荷物の梱包でした。 息子夫婦が見守る中、私たちは次々に思い出の品を包んでいきました。 棚に飾ってあった写真を包む時には、懐かしそうに微笑みながら思い出を語ってくれたのが、 とても印象に残っています。

ある老夫婦の住む家では、自分が懐かしく思う、いわゆる「おばあちゃんち」という雰囲気を感じました。 もったいない、と思いたずねると、年寄り二人で暮らすなら、もっともっと便利なところがいい、 ということらしいのです。 おばあさんはずっと私たちと一緒に荷造りをして、 時には記憶を思い出しながらゆっくりとお話をしてくれました。

部屋の片付けをしていると、「あ、これ懐かしい!」「あ、これあの時にものかな。」など、 思い出に浸ってしまって思わず手が止まることが多々あります。引っ越しは思い出をつめること。そしてそれを経て次のスタートへ踏み出すことだと思います。 何か自分にきっかけが欲しいとき、引っ越しはもっとも有効なリセット&スタートといえるでしょう。 https://www.sou-un.jp/